海外SEO支援会社の選び方|発注前に確認する7つの判断材料と費用の見方
海外SEOの支援会社は、順位保証や実績数ではなく「国別のURL設計を実装まで持つか」「現地語でキーワードを調べるか」「問い合わせ件数で成果を測るか」で選びます。発注前に確認する7つの判断材料、提案書に出る3つの危険信号、費用の内訳の読み方を2026年8月時点でまとめました。
実務ガイド

海外SEOの支援会社は、実績社数や「順位保証」ではなく、国別のURL設計を実装まで引き受けるか・現地語でキーワードを調べるか・成果を順位ではなく問い合わせ件数で測るか、の3点で見分けられます。この3つはいずれも提案を受ける段階で質問すれば確認できます。逆に、この3点があいまいなまま契約すると、日本語サイトを翻訳しただけのページが増えるだけで、海外からの問い合わせは増えません。本稿では、発注前に確認したい7つの判断材料と、見積の読み方を整理します。
海外SEOとは——国内SEOと何が違うのか
海外SEOとは、日本国外の検索利用者に自社サイトを見つけてもらうための施策全般を指します。国内SEOとの最大の違いは、対象が「一つの言語・一つの国」ではないことです。同じ英語圏でも、米国と英国では検索される言い回しも競合も違います。中国本土では検索エンジン自体が異なります。つまり海外SEOは「日本語サイトのSEOを英語でもう一度やる」作業ではなく、進出する国の数だけ別々の設計が要る仕事だと考えたほうが実態に近いです。この前提を共有できる相手かどうかが、支援会社選びの出発点になります。
支援会社を探す前に決めておくこと——「どの国の、誰に」
提案を比較する前に、自社側で決めておくべきことがあります。対象国、対象となる相手(法人か個人か、企業のどの役職か)、そして問い合わせが来たあとに誰が対応するか、の3点です。ここが決まっていないと、支援会社は「とりあえず英語で全世界向け」という無難な提案しか出せません。全方位向けの英語サイトは、どの国の検索でも中途半端な位置に落ち着きます。対象を2〜3カ国に絞るだけで、提案の具体性は大きく変わります。絞り込み自体を支援会社に相談するのは構いませんが、その工程を含んだ見積になっているかは確認してください。
判断材料①:国別のURL設計を、実装まで担当するか
Google検索セントラルの公式ドキュメント「多地域、多言語サイトの管理」(2026年8月7日閲覧)は、言語や地域ごとに別々のURLを持たせることを求めています。具体的な選択肢として、国別ドメイン(example.de)、サブドメイン(de.example.com)、サブディレクトリ(example.com/de/)の3方式が示されており、どれを選ぶかは自由です。一方で、URLパラメータ(site.com?loc=de)による切り替えは推奨されていません。クッキーやセッションで表示言語を変える方式も、各言語版が固有のURLを持たないため同様です。
ここで確認したいのは、支援会社が「どの方式を勧めるか」ではなく、提案した方式を実際にサイトへ実装するところまで引き受けるかです。設計書だけ納品して実装は自社のWeb制作会社に投げる、という分担は珍しくありません。それ自体が悪いわけではありませんが、その場合は実装の可否と追加費用を先に確認しないと、後から止まります。
判断材料②:hreflangの実装要件を正確に説明できるか
hreflangは、同じ内容の各言語版がどれとどれで対応しているかを検索エンジンに伝える指定です。Googleの公式ドキュメントは、HTMLタグ・HTTPヘッダー・XMLサイトマップのいずれか一つの方法に統一すること、各ページが自分自身を指す指定(自己参照)を含むこと、グループ内の全ページが互いを参照し合うこと、プロトコルを含む絶対URLで書くこと、どの言語設定にも合わない利用者向けにx-defaultを置くことを求めています。あわせて、正規URL(canonical)の指定とhreflangの自己参照先を一致させることも必要です。
この要件を口頭で説明できるかどうかは、実装経験の有無をかなり正確に映します。なお、日本の上場企業を対象としたUDXの調査(2026年7月20日時点・ドメインが解決できたプライム上場3,709社)では、hreflangを実装していた企業は464社・12.5%にとどまりました。多言語サイトを持っていても指定まで届いていない企業が多数派だということです。
判断材料③:進出先の検索エンジンを把握しているか
「海外SEO=Google対策」と考えている支援会社は、中国本土向けの案件で確実に行き詰まります。中国本土ではGoogleが通常利用できず、検索の主軸が異なります。さらに中国本土向けにサイトを置く場合は、国内サーバーの利用とICPライセンスの取得という別の実務が発生します。台湾・香港向けは繁体字でGoogleが主流、というように、同じ「中華圏」でも設計が分かれます。提案時に「対象国ではどの検索エンジンを想定しているか」と一言聞けば、その会社がどこまで実務を知っているかは判断できます。
判断材料④:キーワード調査を現地語でやるか、日本語からの翻訳で済ませるか
海外SEOで最も差が出るのがここです。日本語のキーワードリストを翻訳しただけでは、現地で実際に打ち込まれている言葉には届きません。たとえば日本語で「工作機械 輸出規制」と検索する人と、英語圏で同じ課題を抱えて検索する人では、使う単語も検索する意図も一致しません。現地語での検索ボリューム調査、実際の検索結果に出ている競合の確認、そして現地語話者による語感の確認——この3つが工程に入っているかを見積書で確認してください。「キーワード選定」とだけ書かれている場合は、中身を必ず質問します。
判断材料⑤:翻訳の品質を誰がどう担保するか
翻訳は、機械翻訳で下訳を作ること自体は問題ありません。問題は、その後に業界の専門用語を分かる人が目を通す工程があるかどうかです。医療機器・精密機械・化粧品のように、法規制上の必須表記や業界特有の言い回しがある分野では、語学力だけのレビューでは足りません。「ネイティブチェック込み」という一行が見積にあったら、そのネイティブが業界の知識を持っているか、何ページを対象にするかまで踏み込んで確認します。
判断材料⑥:AI検索(LLMO)への対応を含むか
2026年8月時点では、検索結果の順位を上げるだけでは足りない場面が増えています。ChatGPT・Claude・Perplexity・GoogleのAI検索は、自分で回答文を組み立てて、その根拠として特定のサイトを引用します。ここに名前が出ないと、比較検討の候補にすら入りません。この対策はLLMO(AI検索最適化)やAIOと呼ばれます。
UDXの前述の調査では、AI向けの案内ファイルであるllms.txtを設置していたプライム上場企業は167社・4.5%、schema.orgの構造化データを実装していたのは1,075社・29.0%でした。裏を返せば、いま着手すれば先行できる領域が残っているということです。海外SEOの提案に、AIクローラーの受け入れ方針・構造化データ・AI検索での引用確認が含まれているかを見てください。
判断材料⑦:成果を順位ではなく問い合わせで測る設計か
「検索順位◯位を保証します」という提案は避けたほうが賢明です。順位は検索する人の地域・端末・過去の検索履歴で変わるうえ、順位が上がっても問い合わせが増えるとは限りません。実際、当社が自社サイトを調べたところ、検索結果の5位に表示されているのに28日間でクリックがゼロという記事がありました。順位ではなく、表示回数・クリック率・問い合わせ件数のどこで詰まっているかを分解できる相手を選ぶべきです。
あわせて、問い合わせフォームの送信がきちんと計測される状態になっているかも確認します。フォーム送信を計測していない、あるいは「入力を始めた」時点を成果として数えている設定は実際に珍しくありません。この状態では、施策が効いたかどうかを誰も判定できません。
費用の相場感——何にいくら払っているのかを分解する
海外SEOの費用は、大きく次の3つに分かれます。第一に初期の設計費(対象国の選定、キーワード調査、URL設計、技術要件の定義)。第二に実装費(hreflangや構造化データの実装、ページの作成・翻訳)。第三に運用費(記事の追加、順位と問い合わせのモニタリング、改善)。月額いくらという提示だけを受け取ったら、この3つのどこに何が入っているかを必ず分解してもらってください。
見積で必ず内訳を聞く項目
① 対象国と対象言語の数(2カ国と5カ国では工数が倍以上変わる)
② 制作するページ数と、既存ページの改修数
③ 翻訳の対象範囲と、レビュー担当者の属性
④ 技術実装(hreflang・構造化データ・表示速度)を含むか
⑤ 運用期間と、期間終了後に成果物の所有権がどちらに残るか
提案書に出る3つの危険信号
提案を比較する際、次の3つが出てきたら追加で質問してください。
危険信号1:順位を保証する。検索順位は検索エンジン側の判断で決まるため、外部の会社が保証できる性質のものではありません。
危険信号2:対象国を聞かずに見積が出てくる。対象国が決まらなければ工数は算出できません。汎用のテンプレート見積である可能性があります。
危険信号3:実績が「社数」だけで、内容の説明がない。支援した社数より、どの国で・どの指標が・どれだけ動いたかのほうが判断材料になります。守秘義務で社名を出せない場合でも、業種と指標の動きは説明できるはずです。
発注前チェックリスト
① 対象国を2〜3カ国に絞ってから相談する
絞り込みから依頼する場合も、その工程が見積に含まれているかを確認する。
② URL設計とhreflangを、実装まで担当するか確認する
設計だけの納品か、実装まで含むかで費用も期間も変わる。
③ キーワード調査を現地語で行うかを確認する
日本語リストの翻訳で済ませていないか、工程を具体的に聞く。
④ 翻訳レビュー担当者が業界知識を持つか確認する
語学力だけのチェックでは専門用語の誤訳は見つからない。
⑤ AI検索への対応が含まれるかを確認する
構造化データ、llms.txt、AI検索での引用確認の3点。
⑥ 成果指標を問い合わせ件数で合意する
順位だけを指標にしない。計測の設定も含めて依頼する。
⑦ 契約終了後に成果物が自社に残るかを確認する
記事・翻訳・実装コードの所有権と、引き継ぎの範囲を先に決めておく。
UDXの場合——どこまでを引き受けるか
UDX株式会社は、中堅・中小企業の海外向けデジタル施策を支援している日本の会社です。福岡本社に加えて東京・大阪・盛岡の4拠点体制で、対象国の選定から、多言語サイトの情報設計、hreflangを含む技術実装、AI検索への対応、公開後の計測までを一社で担当します。設計と実装の担当が分かれないため、上のチェックリストのうち②③④⑤が同じ窓口で完結します。海外SEO単体での依頼も受けています。判断材料としてお使いください。
まとめ——見るべきは実績数ではなく工程
支援会社の良し悪しは、実績社数や提案書の見栄えでは判断できません。判断できるのは工程です。どの国を対象に、どの言葉を、誰が調べて、誰が翻訳し、誰が実装し、何の数字で成果を確認するのか。この6つが提案書から読み取れるなら、その会社は実務を分かっています。読み取れないなら、契約前に質問してください。答えられない項目が、そのまま発注後の詰まりどころになります。
よくある質問
Q. 海外SEOの効果が出るまで、どのくらいかかりますか?
A. 対象国の競合状況と、既存サイトの状態によって大きく変わります。一般に、技術面の実装(URL設計・hreflang・構造化データ)は数週間で完了しますが、検索での表示回数が動き始めるまでは数カ月かかります。契約時に「何カ月目に何の数字を見るか」を先に合意しておくと、途中で判断に迷いません。
Q. 英語版だけ作れば、英語圏はまとめてカバーできますか?
A. 表示自体はされますが、国ごとに検索される言い回しも競合も異なります。米国・英国・シンガポールでは、同じ製品でも使われる単語が変わることがあります。まずは1カ国に絞って成果を確認し、そこから横展開する進め方をおすすめします。
Q. すでにある英語サイトを活かせますか、作り直しになりますか?
A. 多くの場合は活かせます。まず確認すべきは、各言語版が固有のURLを持っているか、hreflangと正規URLの指定が正しいか、表示速度に問題がないかの3点です。この3点が満たされていれば、中身の改善から着手できます。URLパラメータやクッキーで言語を切り替える方式の場合は、URL構造の変更が必要になります。
Q. AI検索への対応は、通常のSEOとは別に費用がかかりますか?
A. 会社によります。構造化データの実装はSEOの技術対応と重なる部分が多いため、まとめて依頼したほうが割安になることが一般的です。一方、AI検索で実際に引用されているかを毎月測る作業は別工程になります。見積の内訳で、どちらの扱いになっているかを確認してください。
Q. 予算が限られている場合、どこから着手すべきですか?
A. 対象国を1つに絞ったうえで、技術面の実装(URL設計・hreflang・正規URL・計測の設定)を先に済ませることをおすすめします。ここが崩れていると、後からどれだけ記事を追加しても評価が分散します。土台を整えてから、コンテンツに予算を回す順序が結果的に無駄が少なくなります。
自社サイトが海外検索とAI検索でどう見えているかは、無料のチェックで確認できます。海外SEOの進め方についての情報は、UDXニュースレターでお届けしています。
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Google 検索セントラル「多地域、多言語サイトの管理」(Google for Developers・2026年8月7日閲覧。URL構造の選択肢、hreflangの自己参照・相互参照・絶対URL・x-default、canonicalとの整合について参照)/ UDX株式会社「UDX Digital Intelligence Hub」日本の上場企業 AI検索対応調査(調査時点2026年7月20日・母数はドメイン解決済のプライム上場3,709社・各社公式サイトのrobots.txt/llms.txt/トップページHTMLを機械取得して判定。hreflang 464社12.5%、schema.org 1,075社29.0%、llms.txt 167社4.5%)/ llmstxt.org(llms.txt 標準仕様)/ 検索順位と問い合わせの乖離に関する記述は、UDXが自社サイト(www.udx.co.jp)のSearch Consoleデータを2026年7月7日〜8月2日で集計した実測に基づく。/ 調査・検証時点:2026年8月7日。
この記事のテーマを、実務で進めるとき
- 多言語サイト構築と国別SEO(STEP 2)——5〜10言語のサイト設計、hreflangの実装、国ごとの検索エンジンに合わせたSEOをまとめて担います。
- 生成AI検索への対応・LLMO(STEP 5)——ChatGPTやPerplexityといった生成AIの回答に自社が引用される状態をつくる工程です。
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